第2回 ろうそくの光に包まれた町

スーチー一行に反対する人々。こうした活動は軍政の翼賛組織であるUSDA(連邦団結発展協会)によって組織されていた。

2003年5月29日朝9時、アウンサンスーチーらNLD一行はビルマ第2の都市マンダレーを出発した。アウンサンスーチーは5月上旬からマンダレーを基点に、ビルマ北部の遊説旅行に出ていた。

カチン州やルビー産出の地で有名なモゴックなどの町を遊説後、いったんマンダレーに戻り、モンユアなどザガイン管区への遊説旅行に出た。

マンダレーを出発したNLD一行の車は10台。アウンサンスーチー、ティンウーという主要な指導者のほかに、NLDマンダレー支部を中心におよそ130人の党員が同行した。

一方で、NLDを支持する100人以上の人びとが自発的意思でバイクや自家用車で一行の後を走った。
ザガイン鉄橋を渡ると、NLD一行を非難するプラカードを持つ人びとが待ち構えていた。

『外国勢力を頼る裏切り者!悲観主義者に反対!』といった軍政お決まりのスローガンが書かれていた。スーチー一行はこれまでの遊説旅行でもこうした妨害に度々あっており、さして驚きはしなかった。

しかし、マンダレーを出発する直前、「何か問題が起きても、決して喧嘩沙汰にしないこと。罵らないこと。怒りの目さえ見せないこと」という党内指示がNLD一行に出されていた。スーチー女史は途中、各地のNLD支部に立ち寄り、党サインボードの掲示、青年部の設立式をこなす一方、精力的に演説を行った。

夕方6時頃、モンユアの街の入り口に辿り着くと、一行の動きが止まった。スーチー一行を歓迎に来た何千台ものバイクと車。そして、子どもから老人まで、出迎える数万人の人びとで溢れていた。
事件後、タイ国境に逃れたドー・ニュンニュン(52歳)は、あの時の感情の高まりを思い出すように語った。
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