040109_01.jpg【「突撃の先頭に」などの旧態依然のスローガンは、市場が許容されて商売に走る民衆にどのように映るのだうろか・・・】

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)はどうなっているのか?朝中国境現地と北朝鮮内部潜入映像から、その姿を報告する。 長白県は中朝国境に聳える白頭山麓に位置するため交通の便が悪く、タクシーを飛ばしても省都の長春市まで8時間、延辺朝鮮族自治州の延吉市までは10時間以上かかる。林業が主産業だったが近年は不振を極め、地理的条件の悪い長白県には他にこれといった産業はない。対北朝鮮密輸を除けば......。

「今の長白県の経済の1/3以上は密輸に関係するものだ」
B氏(長白県の密輸屋)のほか数人の長白県の住人が口を揃えて言う。もちろん、密輸に統計など存在しないから、彼らは実感を述べただけだが、とにかく長白県経済に占める対北朝鮮密輸の規模は、「産業」と呼んでよいほど大きいことは確かである。

◆密輸が横行する理由
密輸が横行する一番の理由は、ヒトとモノの往来を北朝鮮側が厳しく制限しているためだ。
北朝鮮と中国は友好国だから、中国人は簡単に北朝鮮入国ができる、と考えるのは大いなる誤解である。確かに中朝両国は相互にノービザを実施しているが、旅券をもった中国人なら誰でも入国させているわけではない。

招請書や親戚が北朝鮮内にいるという証明がないと、入国スタンプはなかなか押さないのだ。特に、 92年に中国が韓国と修交した後からは、中国人の入国は困難になり始めた。とりわけ「ポッタリジャンサ」(担ぎ屋)と呼ばれる商売人が締め出された。

韓国の情報やモノの流入を警戒し、安価で質のよい中国製品が大量に入ることで、同じ社会主義を標榜する中国が目覚しい経済発展を遂げていることが国内に伝わり、金正日政権がもっとも警戒する「改革開放政策への憧れ」が、北朝鮮国内に浸透することを憂慮してのことだと思われる。

しかし、九十年代に入って坂道を転がるように経済が衰退していった北朝鮮では、国民が必要とする消費物資をほとんど生産できなくっている。貧しい国とはいえ、生活必需物資へのニーズはあるのだが、国内生産ではその需要はまったく満たせないわけだ。その上、商売人は締め出され、公的な貿易は特定の国営企業が独占的に細々やっているだけ。このように、合法な物流ルートが半ば閉ざされてしまったため、密輸は儲かり、盛んになるのである。
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