恵山市内の市場は、人でごった返し「ないものがない」というほどものが多種並んでいる。手前では老婆が中国の酒を売っている。スルメも見えるがこれは北朝鮮産。(03年9月 撮影安哲/RENK提供)

 

豆満江を挟んで中国と接する咸鏡北道茂山(ハムギョンプクド・ムサン)郡の密輸屋で、鉱山労働者C氏(30代男性)は言う。
「今年(03年)の4月ごろが民衆の不満のピークだった。去年の「経済管理改善措置」のせいで物価は急騰し、政府が約束していた給料も配給も全く出ない。1中国元=25ウォンだった両替レートも、今は1元=100ウォンまで下がってしまった(03年末には=120ウォンに下がっている)。おまけに『闇市場』を閉鎖して商売もできなくした。『これでどうやって生きていけというのか』と、皆おおっぴらに不満を口にしていた」

同、恵山市に増殖する露天商の群れ。街中から川べりにまで店が溢れ出ている。買い手より売り手が圧倒的に多いように見える。(03年9月 撮影安哲/RENK提供)

 

混乱収拾のため、金正日政権は仕方なく、03年4月から市場を公式に復活させ、国民の商行為を認めざるを得なくなる。統制経済に固執してきた金正日政権にとっては、手痛い後退だ。
思想、情報、移動、経済活動の徹底的な国家統制・管理が、北朝鮮特有の独裁体制を支えてきたのだが、実態として跋扈する闇経済を退治するどころか追認し、市場経済的な要素を取り入れざるを得なくなったのだ。
(次回に続く)

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