【2機編隊で訓練飛行をする米軍FA-18戦闘攻撃機】

【2機編隊で訓練飛行をする米軍FA-18戦闘攻撃機】

しかし、これらのルートは米軍が勝手に設けたもので、日米安保条約に基づく日米地位協定で認められてはいない。地位協定で認められた訓練空域は24ヵ所で、三沢と沖縄周辺の島嶼部6ヵ所にある射爆撃場以外は近海の上空である。

ところが日本政府は、「基地間の移動や実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練は、地位協定上も、(提供)施設・区域の上空や訓練空域に限定されない」という解釈で、米軍の行為を黙認している。これでは日本上空のどこでも米軍は好き勝手に訓練できることになってしまう。

しかも、日本の航空法の最低高度規制(離着陸時を除き150メートル以上、人口密集地では300メートル以上)を、米軍は日米地位協定に伴う特例法で免れている。そのため、米軍機は自衛隊機や民間機ではあり得ない低空で危険な飛行もする。

1987年8月に奈良県十津川村で林業用ワイヤを切断、94年10月には高知県の早明浦ダムに墜落、99年1月に岩手県釜石市の山中で墜落、同年同月に高知沖に墜落など事故も起きている。住民に死傷者は出ていないが、一歩間違えば惨事につながっていた。
つづく (文中敬称略)
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