【厚木基地の日米親善桜祭りで展示された米軍の戦闘攻撃機やヘリコプターと来場者 】

【厚木基地の日米親善桜祭りで展示された米軍の戦闘攻撃機やヘリコプターと来場者 】

私は米軍パイロットたちにも話しかけてみた。そのうちのひとりは複数の空母に乗ったことがあるベテランで、9・11テロ事件直後のアフガニスタン攻撃とイラク戦争では空爆もしたという。その時どんな気持ちだったか聞いてみた。

「Just do a job.(ただ仕事をするだけです)。任務を果たすということ、それだけで、ほかのことは考えません」
真顔でそう言い切るパイロットを前にして、私は一瞬どう考えればいいのかわからなかったが、「爆撃で多くの民間人も殺された事実はどう思いますか」とたずねた。

「私が爆撃したのは敵の戦闘員です。民間人ではありません。支援を求める友軍の地上部隊からの指示で標的を攻撃しました。それが私たちの仕事なのです」
彼の目と表情からは、本気でそう信じているらしい様子がうかがえる。

空の高みから強大な破壊力を行使する人間にとって、地上に現出する惨たらしい光景は関心と想像の範囲外なのだろうか。
そして、騒音被害については次のように述べた。

「爆音がうるさいという人が多いのは知っています。しかし、訓練飛行をやめるわけには
いきません。いつでも任務につけるよう備えなければならず、爆音はやむをえないのです。
私たちは北朝鮮などの脅威から日本を守るためにいることを理解してください」

米軍パイロットの言葉は、常に任務を最優先させる軍人の思考回路から発せられているよ
うだった。
~つづく~
(文中敬称略)
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