シム:なるほど、将軍様がお乗りになったその1号列車を見ましたか?
女性:まさか、見られるはずないじゃない。列車が来るとなると、1メートル間隔で保衛員(情報機関員)たちがあちこちに立ちますからね。前日からずらりと立って目を光らせるんです。アリ一匹入ってくる隙間もありゃしないですよ。

シム:これからは将軍様の乗った列車は、龍川の方は通らないで、白馬の方だけを通るのでしょうね。
女性:そうでしょう。中国に行くには、白馬の方へ抜けて、丹東に行くんですって。聞いた話ですけど、列車には大砲を積んで、それから自家用車だとか、そんな物も積んであって、外見は将軍様がお乗りになった車両がどれなのかわからないようにしてるんだってよ。

それから、将軍様の列車が通る前には、警戒のために飛行機まで飛ばして行ったり来たりするので、私たちなんかには、将軍様の列車を間違っても拝めることはないですよ。それから......背の高いビルにあるあれ、。なんだっけ?上にある、高いビルにある......。

シム:屋上?
女性:ええ、そうそう屋上。雨が降ったり雷の時には、時々誰かが屋上に登って検査したりするでしょう。けれど、1号行事(金正日関連の行事)の時には、屋上には誰も絶対に上らせないんです。特別列車が来るとなると、保衛員たちが出てきて、人民班長たちに「屋上に鍵をかけろ」「誰にも上らせるな」と命令する。そんな時に屋上に上がったりすると、大変な目に遭うんだって...。

シム:屋上からは下が全部見えてしまうから。
女性:そう、すっかり見えますからね。

シム:もしかして、その、爆発させたやつを逮捕したとかいう話は聞きませんか?
女性:いくつか噂は流れてましたよ。最初の噂は、油のタンクが列車に積まれていたんだけれど、そのタンクの車両が新義州から11時ごろに龍川に来て、それ自体の摩擦熱のせいで爆発したなんて話もあったし、それから、列車に積んでいた肥料が爆発したという話もあったな。
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