殺されたのは金持ちの在日帰国者
殺害された老婆と女性、そして家族旅行中だったアパートの主人らは、日本から来た「帰胞(在日帰国同胞の略語)」であった。
絞殺された女性の夫は、その日現場を離れていたため、家族が皆殺しされた中で、ただ一人生き残った。
この家には、この年だけで日本の親戚から2~1回の支援物資が届いており、その生活水準は上流層に属していた。

事件が発生したアパートの家はピアノまで揃っていて、元山でも、いい暮らしをしていると有名だった。
したがって、今回の事件は金品を目的とした強盗及び殺人事件と推測された。
捜査は近所の住民たちの目撃証言を収集することから始まった。

「苦難の行軍」以降、大きな都市アパートではほとんどがそうであるように、このアパートでも自分たちで組織した有料警備システムが運営されていた。
盗難等を防止する目的で、人民班の住民たちの負担で始まったものである。
ところで、休みの日と平日午前9時ごろは、アパートの警備状態が最も手薄な時間帯である。

どの家も訪問者の身元を確認せずにドアを開けることはないのが通例だった。
したがって、今回の事件は、顔見知りによる計画的犯行であるとの線が推理された。
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