「ビルマ観光に行くべきか?」(上)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。

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【ビルマ観光の最大の一つにパガン遺跡がある。鮮やかな朝焼けを目にした観光客は、その美しさに見とれる。カンボジアのアンコールワット、インドネシアのボロブドゥール遺跡と並ぶ世界3大仏教遺跡の1つ】
ビルマに関わる研究者や取材関係者を除いて、この国に接する機会があるといえば、ほとんどの人が旅行者としてであろう。
まず観光客としてビルマに入国することになる。

ちなみに、ビルマ国内で出会った欧米人の観光客の多くは 、"Lonley Planet" という旅行ガイドブック(英文)を手にしていた。
この旅行指南書は、ビルマ編に限らず隣国タイ編でも、日本語の旅行ガイドブックは比較にならないほど格段の情報量がある。
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【ビルマ国内の移動はバスが一般的。頻繁に起こる故障。そのたびにバスはストップする。市民生活に不便な出来事も、観光客にとっては旅の語り草の1つになる】
その"Lonley Planet" (第9版、2005年)の冒頭に、'Should You Go?'(「あなたは(ビルマへ観光に)行くべきか?」 という1章が真っ先にある。
「ミャンマーに足を踏み入れる前に、すべての旅行者が『私は行くべきか』を自らに問いかけ、その答えを出しておかなければならない」
観光のためのガイドブックなのに、どうしてわざわざこういう断り書きが必要なのだろうか。
"Lonely Planet" は、ビルマが軍事政権であるため、観光客として同国に入る際に留意しておくべき(だと同書が考える)注意事項を記している。
次のようなことを書いている。

「行くべきでない理由」:(自宅軟禁中のノーベル平和賞受賞者)アウンサンスーチー氏は観光客の訪問を望んでいない/観光地を整備するために強制労働が行われた/観光客の落とすお金、例えばビザ代20ドル・出国税10ドル・7%から10%の購入税が軍事政権の懐に入る、など。
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