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【毎週、キリスト教会でお祈りを欠かさないハディール(右)と妹のハムザ(左)】(アルビルで/撮影:玉本英子)

玉本英子 現場日誌
■イラク・国内避難民の子ども、ハディールちゃんとの再会 2 (08/03/14)
一家がアルビルに避難してきて3年。他の町に比べて治安が安定しているアルビルでの生活にもようやく慣れたハディールは、すっかり少女らしくなった。
学校ではアイドルの話に夢中の普通の中学生だ。休みの日には友人と外でアイスクリームを食べにいくのだという。「友だちとおしゃべりするのが好き。今の生活は楽しい」と笑みがこぼれた。
それでもバグダッドを忘れたことはない。家族は去年のクリスマスに1週間だけバグダッドの家に戻った。3年ぶりのバグダッドにわくわくしたというが、友人たちに会うことはできなかった。かれらも家族ごと町を逃げ出していたからだ。
地区の住民のほとんどがシーア派に変わり、ハディール一家のようなキリスト教徒や、スンニ派の住民は地区から追い出されていた。
「地区はシーア派民兵に占領されてしまった。バグダッドにはもう戻れません」
父親はあきらめの表情を見せていた。
アルビルから車で1時間ほどの町モスルで先月末、キリスト教会の大司教が警護員とともに武装グループに拉致された。大司教は昨日(13日)、地中に埋められた遺体となって発見された。
「治安状況が改善された」といわれるイラクだが、戦争から5年を迎えたイラクの人びとは、いまも不安と恐怖に直面しながら暮らしている。 (続く)
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