お金にまつわる話(下)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。
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【ビルマ最大のイラワジ河で燃料の詰まったドラム缶を下ろす】
人びとは拳を挙げるのを止め、口を閉ざし始めていた。
6~7年前まではまだ、自分たちの生活を犠牲にしてまで軍政に反対する雰囲気が、人びとの間にあった。

自分たちの生活を良くするには民主主義国家でないとダメという理想があった。
だが、民主化への道筋をあきらめた多くの人びとは、政治に関わるよりも、とりあず自分の家族と身近な人びとの生活をなんとか守ろうという風に変わってきた。

そう、ラングーンを見回すと、モノが溢れ、若い人は消費生活を楽しんでいるように見える。
ビルマは極端な二重為替を敷いている。
公式には1米ドルが6.6Kだが、実質は1米ドルが1270Kである。
むちゃくちゃな差である。

6月始め、ラングーンの空港で一緒になった日本人観光客は何も知らず、1米ドル450Kで両替しようとしていたので一声かけたこともある(ビルマに進出している国連機関や外国の援助団体は、450~850Kで活動していると聞いた)。
もっともビルマの人びとは実際、1270Kの実質レートで生活している。
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