(2007年10月 韓国青瓦台HPより)

(2007年10月 韓国青瓦台HPより)

二〇〇七年一〇月初旬、盧武鉉韓国大統領(当時)が平壌を訪問して金正日総書記と首脳会談を行った。
二〇〇〇年六月の金正日―金大中会談に続き、南北首脳会談は二度目になる。
前回の会談は歴史上初めてということもあって、世界中が注目し、北朝鮮の多くの住民たちも「会ったということ自体が重要だ」という肯定的な反応を見せた。

それから七年が経ち、盧大統領の任期満了と大統領選挙の直前という時期に執り行われた首脳会談を、北朝鮮の住民たちはどのように受け止めたのだろうか?
北朝鮮の党と政府官営通信は、会談を「わが民族同士」「民族共助」精神の勝利、成果として、喜ばしいことだと報道したが、内部の実際の空気ははたしてどうだったのだろうか。

編集部では、北朝鮮内部の記者シム・ウィチョンとリ・ジュンに連絡し、平安南道と咸鏡道での緊急取材を依頼した。
編集部は記者たちに、この取材に関する報道が韓国をはじめ、世界に伝えられる可能性をあらかじめ強調した。また記者たちは、この調査の意向に関して、取材に応じてくれた人の了解を得たとのことである。

平安南道 「南朝鮮は、大統領を人民が選ぶが……」1 取材シム・ウィチョン
二〇〇七年一一月、記者シム・ウィチョン(沈義川)が平安南道の男性三人と、一〇月にあった南北首脳会談に関連して話を交わした。
チュさんは、五〇代の行政機関職員、ウォンさんは四〇代の労働者、ドンさんは五〇代の事務員である。四人は親しい間柄である。

贈物の韓国ドラマは……
シム・ウィチョン:今回、盧武鉉大統領が来ていろいろな贈り物をしましたよね、南朝鮮の面白いドラマも持って来たらしいけれど、それが南朝鮮のテレビには、「金正日委員長が一番気に入ったのがドラマだった」っていう風に出てたらしいね……。(編集部補注シムは韓国のラジオを普段から聞いている。)

チュ:だけど、それ、すぐその場で燃やしてしまったというよ。受け取ってすぐに火をつけて、そして燃やしながら中間幹部と下の幹部たちに、「南朝鮮のドラマを見たことがわかったら、容赦なく処罰しろ」って、指示を出したんだとか。ああ、だから国民が安心してのびのびと暮らせないんだ。

シム:今回、盧武鉉が首脳会談を終えて、公の場でこんなことを言ったそうです。
「北では改革開放を望んでいない。だから私たちも北に対して改革開放を要求しない。支援も改革開放のためのものとなってはいけない」って。
ということは、私たち北の国民は、まるで改革開放を願っていないということになりますね?
チュ:望んでるに決まってる。みんな改革開放してほしいと思ってるよ。
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