ロイヤルファミリーの家系の話は絶対にしてはならないことになっている。早く話題を変えなければならない。
自分たちも軍人時代に「一号行事」に参加していて、事情を知っている兄たちには、いっそのこと『平壌オモニ』を警護して江原道へ行った二〇〇三年七月の話をした方がよさそうだ。

兄たちは、『平壌オモニ』も参加した行事の経験はなかったはずだ。(注3)
(つづく)

注1 金正日が参加する行事を一号行事と呼ぶ。
注2 康磐石は金日成の母親、金正淑は金日成の最初の妻であり金正日の母親である。金父子の家族は偶像化されて尊敬の対象として教化される。
注3 「平壌オモニ」は、外部資料などを参考に考えると、整理者の見解としては「高ヨンヒのことを指していると思われる。

振り返ると、高ヨンヒは九〇年代後半に、すでに国内で軍部で直接活動を展開していた。たとえば、規定上、塩を供給することになっている軍人の食生活改善のために、「平壌オモニ」が発案したといわれる固形醤油が、「オモニの醤油」と呼ばれていた。

その名前を畏れ多くて呼ぶことができないためなのか、名前が分からないためなのか、「平壌オモニ」以外の呼称や、「高ヨンヒ」という名前が、北朝鮮国内で通用している形跡は見られない。
「平壌オモニ」という言い方であっても、普通の軍人の口から本文にあるような話が飛び出すということは、ロイヤルファミリーの内幕を最高級の秘密としてきた北朝鮮社会の変化を現していると言える。

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