そうしたさ中、総統の婿は、商売人たちとの会食を繰り返していた。生活は派手になり、クレジットカードで数十万元の買い物をしたなどと報道されたりしていた。そしてインサイダー取引である。しかも堂々と家族の名義でおこなっていた。
何と脇が甘いのだろうか。

一方で、母親すなわち総統夫人の部屋には多くの貴婦人が訪れては、甘い話を持ち込んできた。どこどこでブランド品の安売りがあるわよといった他愛もない会話が始まりだったのかもしれない。
やがてそれはそごうの商品券が安く手に入るよといった話題に発展したのか。事件の実相はなお不明だが、夫人の部屋を大量の商品券が行き来していたことは確かなようである。

総統府職員とともに起訴されたのは、2006年秋。総統府の機密費を私的に流用したという。金額は1480万元(総統自身は退任まで検察は刑事手続を保留)。
以前にもここで書いたが、陳水扁一家の財布と総統府の機密金庫の区別がよくできていなかったのではないだろうか。独裁時代以来の後遺症である。

有罪に仕立て上げるのが困難なほどに、ありふれた、台湾ではいかにもありそうなささいな汚職である。しかし、夫人は出廷を拒否し、自らの弁護を放棄してきた。総統自身も、夫人を責めるような言葉を一度も吐かなかった。
総統は、妻が、娘夫婦が、どのような生活をしていたのか、彼らの身辺が急にきらびやかになっていくことに、注意を払うことはなかったのだろうか。そしてユキも、夫や母のふるまいに不審を思うことはなかったのだろうか。

★新着記事