清津市の駅前(2005年5月 リ・ジュン撮影)

二〇〇六年夏、清津(チョンジン)市で二四歳の男による九歳の女の子への強姦事件が発生した。
女の子はその日も友達と、近所にある廃屋の周りでかくれんぼをして遊んでいた。
夕方、このあたりでは見かけない男が現れた。その男は目の前にいた女の子を指さして「この子だけ残って、あとはみんな帰れ!」と凄んだ。

一緒に遊んでいた子供達はびっくりして蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
男が残った女の子を無理やり廃屋の中に連れ込むと、女の子は恐怖のため泣き出した。
すると男は刃物を突きつけて「声を出すと殺すぞ」と脅し、女児に暴行を加えた。

そして、失神状態の女の子をその場に放置して逃げた。
女の子は辺りが薄暗くなった頃、這うようにしてようやく家に辿りついた。
一方、ジャンマダン(市場)から戻ったばかりの女の子の母親は、娘が部屋の隅でじっとうずくまっているのを見て、また誰かと喧嘩でもしたのかと思い、気にも留めなかった。

夕飯の準備ができ、母親が声をかけると、女の子はヒステリーを起こして手のつけようがなかった。仕事から戻った父親がなだめたが、いくら言っても食べたくないという。仕方なく他の家族だけで夕飯を済ませた。
夕食後、布団を敷き、体を丸めて眠ってしまった子どもを抱えて寝かせようとした時、着ていた衣服の乱れに気がついた。不審に思った両親が子供を起こし、あれこれ問い詰めた。
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