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難民取締りの検問をする中国の国境警備隊2003年4月 石丸次郎撮影

伝えられている通り、五輪開催中の北京は、不測の事態に備えてガチガチの警備体制が敷かれている。
大国の中国は抱える問題も多様だ。
様々な目的を持ったグループが、五輪という舞台で、国際社会の耳目を集めるために騒ぎを起こそうと考えるのは十分にありえることだ。
警戒対象の筆頭は、今年3月に大規模暴動が発生したチベットや新疆ウィグルなどの少数民族の独立運動だろう。

国内外で連携する民主化・人権グループや法輪功も、厳しくマークされている。
そして、おそらくこれらと同等の警戒対象になっているのが、脱北難民救援団体と人権活動家たちである。
2002年5月に発生した瀋陽日本総領事館事件を皮切りに、北京を中心に北朝鮮難民が外国公館に駆け込む事件が相次いだことは記憶に新しい。
2004年9月には、北京のカナダ大使館に、用意してきたはしごを使って、一度に44人が柵を乗り越えて駆け込んだ事件もあった。

五輪期間中は、外国公館の周辺は厳重な警備で要塞のようになるだろう。
私はもともと7月終わりから中朝国境取材を予定していたのだが、現地協力者たちから「今は来るな」との連絡が来ている。脱北者に対する取締りが数段強化され、外国人に対する管理も厳しくなっているというのだ。

例えば吉林省延辺地区では、6月から警察が名戸を回るローラー作戦を実施している。
家の中にいる者で身分を証明できない者、中国語が話せない者を取り調べる。脱北者を摘発するためだ。
「汪清県の農村地区で7月初旬に行われた集中取締りでは、一度に20人以上が逮捕されて行った。国境では豆満江から内陸に移動する車は、すべて止められ、トランクや荷物まで調べられている。今、国境地帯に来てもまともに取材できないだろう」と現地協力者は言う。

鉄道駅やバスターミナルでは、乗客の身分証検査が徹底して行われている。
「怪しい者」を北京に向かわせないために、「元を絶つ」作戦だ。
これら徹底した取り締まりは、北京だけでなく、他方で騒ぎを起こすことも許さないという強い姿勢の表れだといえる。

脱北難民支援の市民団体のほとんどは、嵐が過ぎ去るのを待つしかないと考えているようだが、過激なグループの中には、逮捕覚悟で北京でゲリラデモを計画しているところもある。
北京入りを計画している韓国のある人権団体(匿名を希望)は、
「北京市内でビラまきや平和的なデモぐらいはやりたい。できればマラソン競技に合わせて抗議活動をしたい。中国は脱北難民の逮捕送還を今も続けており、不当性を世界中にアピールできるから」と筆者に語った。

さて、競技の方だが、当の北朝鮮は、選手が11種目に63人が参加している。
選手たちは、資金不足と鎖国体制のために、国際舞台での経験が圧倒的に不足している。ハンディを乗り越え活躍することを期待したい。

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