揺れるカシミール 廣瀬和司の緊急現場報告~次の大会の日程が決まる (2008/09/11)

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【8月下旬、「ラル・チョークへ向かえ!」を阻止するために、ラル・チョークは完全に封鎖された。10月6日に、市民たちはこのバリケードを破るのか?】(撮影:広瀬和司)

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【スリナガル発(インド側)】
先日、連携委員会から次の「ラル・チョークへ向かえ!」の日程が発表された。ラマダン明け後(ラマダンは10月4日に明ける)の10月6日である。それまで、大きな集会はなし。
ただ、ストライキや小規模なデモは逐次行っていくこととされた。

1ヶ月近く延期されたわけだが、理由は2つある。一つは言わずもがな、ラマダンだからだ。大きな集会を開くと、地方からバスを仕立てて大勢の人びとがやって来る。

それを腹ペコでは辛かろうということだ。また、人びとはラマダン期間を聖なる月として、とても大切にする。普段、お祈りなど禄にしない奴でも、この月はせっせと1日に2回、3回とお祈りをする。

もう一つは学生の進級試験があるからだ。騒動が起きて試験が潰れると、学生は1年を棒に振ることになる。
これに対する人びとの反応はやはり2つに分かれる。ラマダンだから仕方ないし、それから気合を入れればいい、というのと、せっかく盛り上がった流れを逸してしまう、と懸念する反応だ。

宿の主人は「先日の100万人集会のときにそのまま座り込んで、インド政府に要求を突きつけるべきだった」と言い、下町で投石していた青年は「ラマダンは大切だし、終わってからでも気合は十分だ」と言う。ただ、なんとなく連携委員会から闘う気持ちが感じられない、というのは共通していた。

それに、前回も「ラル・チョークへ向かえ!」は強力な外出禁止令が出され、ラル・チョークは封鎖された。今度も同じ措置を取るのは容易に想像できるが、連携委員会はどうするつもりなのだろうか?やるとしたら、「かまわず外に出ろ」と犠牲を承知で指示を出すしかないだろう。

現在のカシミールはアマルナートの土地の譲渡の問題で州内閣が分裂して崩壊したため、州知事による直接統治である。次の内閣を立てるのに、本来は今月に選挙を行う予定だったが、今ままでの騒動で予定が立っていない。

州知事のボーラ氏は州知事統治の期限が切れる1月10日までに行いたい、という希望をだしたが、現状では難しい。今のままでは100%近く投票がボイコットされることが間違いないからだ。
元々、20年前に武装闘争が本格化したのは州議会選挙で不正開票の疑惑が持ち上がったからだ。

以来、カシミールの人びとはインド政府の下での選挙を信用しておらず、ボイコットを繰り返している。なんとか投票率を上げようと、田舎では兵士が一軒一軒家を回り、銃を突きつけて投票を強制させる、という始末である。
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