マリの首都バマコにある銀行を訪れた。目指すはATM。日本の銀行のようにずらりと並んでいるわけではなく、ATMがぽつんとひとつ設置された小部屋が設けられている。

ドアには「VISA Welcome」とのシール有り。私は、クレジットカードでキャッシングができるのかを試してみたかったのだった。西・中部アフリカにおいてATMを見かけることは極めて少ないため、ATMの存在そのものが際立って見える。

入り口に立つガードマンにニコリと微笑み、ドアを開けて中に入ると頭がくらっとする。効きすぎた空調は富の証。この場所の特別さを体で感じる。カードを挿入して暗証番号を入力。金額を指定して、しばし画面が切り替わるのを待つ、待つ。

私が入力した数字とカード情報は、どこを通ってどこにたどり着いているのだろうなんて想像できるほどの、待ち時間。やっと切り替わった画面に表示されたのは、「通信エラー」の一言のみ。もう一度、挑戦。しばらくして、同じメッセージ。3度トライするには、この部屋は寒すぎる。止む無く敗退。

目が合ったガードマンに向けて首を横に振ると、午後ならOKと気休めの台詞をかけてくれた。同日午後に同じATMを訪れたが、結果は同じ。ガードマンの人件費もクーラーの電気代ももったいないんじゃない? と嫌味を言いたくなってくる。

翌日も懲りずに挑んだところ、しばらくしてATMから紙幣を数える音が聞こえてきた。キャッシング、ついに成功。自分のお金なんだけれど思わずガッツポーズ。セネガルやコートジボワール、トーゴ、ベナンなど、西アフリカでATMを見つけては小額のキャッシングを試してみてきたが、万事この調子である。
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