ビルマ潜入紀行 ~東南アジア最後の軍事独裁国家からの報告~(33)

※お断り ミャンマー(ビルマ)入国取材の安全を期して、宇田有三氏は「大場玲次」のペーネ  ームを使用していましたが、民主化の進展に伴い危険がなくなりましたので、APN内の記事の署  名を「宇田有三」に統一します。

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【写真:ビルマの最高紙幣1000チャット(K)札を身にまとった「ナッカドー」が酒に酔って踊り回る。毎年8月末にマンダレー郊外のタウンビョンで行なわれる「ナッ(神)」を祀るお祭。ラングーンではこの時、燃料費の値上げに端を発したデモが起こっていたが、ここではその影響はほとんど見られなかった。

人びとは声を上げて笑い、手を合わせて願っていた。祭を司る「ナッカドー」は最近、女装趣味者や同性愛者が増えている。厳しい修行が必要なビルマの上座部仏教の陰には、色・欲・酒を伴う人間的な生活を保つシステムが伝統的にある】
数年前、ビルマでの滞在を延ばすために当局に出向いた。
あっさりとビザ延長ができた。
同じ時期に申請した知り合いの日本人は、却下されたのに。

「きっと泳がせておいて、何かあった時に逮捕するんだよ」
そう冗談を言う人もいる。
これまで訪れた地方の検問で2度拘束されかけている。
それ以外に3度ほど尋問を受けた。

一度は当局者と激しく口論もした。
それでも結局、すべて許してもらえた。
まあ外国人ということもあったのだろうが、それ以上に「外国人であるオレがこの国
のおかしい事をおかしいと言わなければ誰が言うんだ」という態度を取ってきた。
それがいまのところうまく通じているようだ。

取り締まりの下っ端の役人や兵士や警官たちも、この国は何かおかしいと気づいて
いる。
だからこそ、ある程度私の行動を黙認している。
そう信じたい。
先週も、「あなたはカメラマンでしょ。気をつけなさいよ」と政府関係者に言われてビックリした。
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