内部記者が撮った! 北朝鮮最新事情 3
写真 チャン・ジョンギル  解説 石丸次郎

◆商売、商売! 中(撮影日:2008年9月初旬 場所:平壌市郊外江東郡某公設市場)
今回掲載するのは、総合市場と呼ばれる公設市場である。
北朝鮮では、もともと農民が作った野菜や卵などに限り売買ができる農民市場だけが運営を許されていた。
あらゆる消費物資は配給されるか、国営商店を通じて購入するという仕組みになっていた。社会主義統制経済体制のもと、物資の流通は、農民市場を除いて一手に国家が牛耳るのが原則だったのである。

しかし、経済の疲弊が進んだ1980年前後から、北朝鮮政府は国民に満足に配給をできなくなり、国営商店で売るべき品物も、国営工場がまともに生産ができなくなる。

消費物資が必要な国民は、闇取引を始めた。
90年代に入ると経済破たんに金日成死亡の衝撃が重なり、北朝鮮はパニック状態に陥って社会システムは麻痺、大量の餓死者まで出す惨状を呈すことになる。

その混乱の中で、ちっぽけな農民市場は闇市場として急成長を遂げ、ありとあらゆるものが売られるようになったのである。
2003年春、北朝鮮政府はこの闇市場を総合市場として再編し、全国に公設市場を設置した。
この公設市場とその周囲に広がる大きな露天市場は、様々な統制を受けながらも、全国どこでも消費物資流通の実質的な拠点に成長した。

反比例するように、外国製品を扱う国営の外貨専門商店はほとんど潰れ、ほとんどの国営商店は開店休業状態になってしまっている。
去年の秋以降、北朝鮮では、この公設市場と周囲に広がる露天市場を、かつての農民市場に戻そうという大統制が始まっている。詳細については、リムジンガン次号にて報告したい。
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