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【池や川のまわりに建てられたサダム宮殿。外見はアラビアンナイトの様相をかもし出している】(撮影:玉本英子)

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【フセイン専用だった金色のエレベーター。壊れて使えない】(撮影:玉本英子)

玉本英子 現場日誌
ティクリート~サダム宮殿に泊まる(2) 2009年3月19日
大理石で作られた豪華な宮殿だが、高価な家具や調度品はフセイン政権崩壊の際、市民や米軍兵士たちにすべて奪われてしまった。
取り外しができない巨大なシャンデリアだけが、当時を物語っていた。

「宮殿に泊まる」と聞けば、さぞや優雅なひとときを過ごせたんでしょう、と思われるかもしれない。しかし、見かけとは裏腹に、コンディションは最悪だった。
まず蚊とノミの大群に襲われた。日本と違い、イラクは乾燥地帯が多いために蚊を見かけることは少ないが、サダム宮殿は景観優先で、池や川のそばに建てられているのだ。「ウィーーン」という蚊の羽音が延々と頭の上をかけめぐる。

その上、断水と停電だ。体が洗えないのはガマンできても、停電が続くとビデオのバッテリーが充電できなくなるではないか。その心配で今日も眠れそうにない。
それでも現場に出られるというのは、私にとってはありがたいことである。
(つづく)

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