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【派遣労働者が働いている千葉県市川市の倉庫・工場地域】

【派遣労働者が働いている千葉県市川市の倉庫・工場地域】

第5章
「人的資源」活用論と雇用の流動化と労務統制

「物扱い」された派遣労働者
インターネットで人材派遣業界と業務請負業界の数多くの会社のホームページを見ていくと、「人的資源」という言葉が目につく。
「人材派遣のご利用は社外の人的資源を効率的・効果的に活用できる最善の経営選択です」
「変化するビジネス状況にフレキシブルに対応、人的資源の効果的な投入を図る具体的施策の提供を通じて、ビジネスに新しい可能性を拓きます」
「外部の人的資源を有効活用し効率的に組織力を強化したいとお考えの企業様へ、優れたキャリアを持つ人材を派遣します」

「人的資源の最適化とコスト削減を実現し、企業の経営リソースをコア業務に集中させることが可能」
「アウトソーシング(業務請負)を活用すれば、効率的な運営とより戦略的で中核的業務への正社員様のパワーシフトが可能となります。業務や人材資源の縮小だけではなく、人的資源の有効活用によってはじめてコストダウンが実現されます」

「アウトソーシング事業では、外部の人的資源を有効にご活用頂き、コスト削減や内部の人的資源の高度化をお手伝い致します」
こうした文章は、トップページの事業内容紹介に出ていることもあるが、たいていは「人材をお探しの企業様」「企業ご担当者様」「法人向けサービス」といった表示をクリックすると表れるページに載っている。

派遣や請負の労働者を求める企業側担当者の立場に自分がなったと仮定して、繰り返し読んでみるが、これらの文面からは個々の生身の労働者の顔や声は想像できない。いや、読めば読むほど想像できなくなる。
「コスト削減」や「組織力の強化」や「効率的な運営」のために、「人的資源の効果的な投入、有効活用」を計画し、実行する立場に立ったとしたら、あたかも顔も個性もない抽象的な労働力を動かすとしか感じられなくなるのかもしれない。
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