その「別添(1)」として記された日米合同委員会における合意は、以下の通りである。
「行政協定第17条第3項(a)( ii) にいう『公務』とは、合衆国軍隊の構成員又は軍属が、その認められた宿舎又は住居から、直接、勤務の場所に至り、また、勤務の場所から、直接、その認められた宿舎又は住居に至る往復の行為を含むものと解釈される。ただし、合衆国軍隊の構成員又は軍属が、その出席を要求されている公の催事における場合を除き、飲酒したときは、その往復の行為は、公務たるの性格を失うものとする」(『実務資料』p.204 )

ysd_img501.jpg国会図書館で部分的閲覧のできる『実務資料』複製では、「合衆国軍隊の構成員又は軍属の公務の範囲について」の通達は、法務省と外務省によって黒塗り処理されている。[上の画像をクリックすると拡大します]

新原はこの日米合意について、公務の範囲を米軍側に有利に拡大解釈するものだと語る。
「米軍基地と基地外の住居や宿舎(ホテルも含む)を往復する途中の交通事故を、自動的に公務中と見なし、さらに『公の催事』における飲酒後の運転による交通事故までも「公務中」だとして、日本側の刑事裁判権が及ばないようにする仕掛けがつくられたわけです」

なお、現在、国会図書館で部分的閲覧のできる『実務資料』複製では、「合衆国軍隊の構成員又は軍属の公務の範囲について」の通達が載っているページは、法務省と外務省によって全て黒塗り処理され、4ページ分が取り除かれている。法務省と外務省がこの秘密合意をいかに隠しておきたいかがわかる。
つづく(文中敬称略)
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