巨大な監獄・北朝鮮の地
(文) チャン・キルス

穏城(オンソン)労働教養集結所 咸鏡北道穏城労働集結所に捕まって行きました。食べるものはトウモロコシの実の皮、しぼりかす、菜っ葉そしてとぎ水…。これがぼくの一食でした。 ―デハン(キルスの叔父)

穏城(オンソン)労働教養集結所
咸鏡北道穏城労働集結所に捕まって行きました。食べるものはトウモロコシの実の皮、しぼりかす、菜っ葉そしてとぎ水…。これがぼくの一食でした。 ―デハン(キルスの叔父)

 

北朝鮮の地、そこは一つの巨大な監獄である。
人の命をハエの命よりひどく扱う世の中。毎日、そこで何万の人々が死ぬような目にあわされているかわからない。
明け方の3時から、ぼくは安全部の事務所の冷たいコンクリートの床にはいつくばっていた。安全員は机につっ伏して寝ていたが、起き上がり、イスを並べて再び寝はじめた。

コンクリートの床がどれほど冷たかったことか。まるで氷の床のようだったが、ぼくは疲れきっていて、眠ってしまった。しかし、しばらくしてだれかがドアをノックした。

安全員であった。安全員はどこで手に入れたのか、梨をいくつか持って入ってきた。子どもの拳ほどの小さな梨であった。安全員は一人で梨をむしゃむしゃ食べていた。そして食べ終わったカスをぼくに投げてよこした。ぼくはお腹がとても空いていたので、床に転がったそれをすぐに拾って口に入れた。その食べかすは硬かったが、お腹がすいていたので、そんなものでも食べることができた。

かすを拾い食いしながら、コチェビ(孤児たち)の姿が思い浮かんできた。
地面に落ちたものでも拾い食いすると言って、さげすんでいたのに、二度コチェビのことをそんなふうに考えてはいけないと思った。

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