「自国民にも嘘をつく政府が、世界にいちゃもん」と噂
天安艦沈没事件は韓国によるでっち上げだとする政府の主張を、北朝鮮の住民たちは誰も信じていないと、23日、咸鏡北道のイム・チョミ通信員が伝えてきた。周囲の人間たちはおしなべて当局の主張を信じていないという。

イム通信員によると、22日の17時から放送された「朝鮮中央テレビ」ニュースの中で、天安艦事件に関連する報道があったという。内容は、5月20日の韓国による調査結果の発表を受け、北朝鮮の最高権力機関である国防委員会が発表した声明文が主だったとのことだ。

イム通信員の周囲では、「米国と韓国が結託して、北朝鮮を陥れようとしている」という当局の主張に対して、「自国民にも平気で嘘をつく政府が、世界を相手にまたいちゃもんをつけているぞ」と嘲笑しており、「自分の国の庶民を苦しめる政府なのだから、あんな事件を起こしても不思議ではない」と、人々は政府の仕業だろうと噂し合っているという。

北朝鮮住民の反応からは、政府に愛想を尽かした民心が見て取れる。そうでなくても現在、北朝鮮の人々は、昨年11月末に政府が断行したデノミネーション(通貨単位の切り下げ)を原因とする経済難の真っただ中にいる。特に今は穀物の蓄えが底を着く春窮期にあたり、食糧価格の乱高下が続く中で、不安定な暮らしを強いられている。混乱を収拾する明確な打開策を示すどころか、国際社会でさらに不利になるようなことをしでかした政府には、もう付いて行けないというのが本音だろう。

昨年11月のデノミ以降、コチェビたちも急増したと内部通信員たちは伝えてきている。2004年7月 咸鏡北道清津市 撮影:リ・ジュン cアジアプレス、リ・ジュン

昨年11月のデノミ以降、コチェビたちも急増したと内部通信員たちは伝えてきている。2004年7月 咸鏡北道清津市 撮影:リ・ジュン cアジアプレス、リ・昨年11月のデノミ以降、コチェビたちも急増したと内部通信員たちは伝えてきている。2004年7月 咸鏡北道清津市 撮影:リ・ジュン cアジアプレス、リ・ジュン

 

イム通信員はアジアプレスとの通話の中で、「このようなことをする政権が長続きするとは思えない」としつつも、「北朝鮮の人々はそれでも、あのような不良軍人たちが人民の生活を少しでも気にかけてくれることを願っているのです」とあきらめたように付け加えた。

5月20日の韓国の民軍合同調査団による発表を受け、北朝鮮の国防委員会は同日、声明を発表。今回の天安艦事件は「逆賊の輩たちによる意図的かつ強盗的な『謀略劇』や『捏造劇』にしか見えない」としている。また、北朝鮮が派遣する「検閲団」を韓国が受け入れることを強く要求すると共に、「韓国側が行ういかなる『応酬』や『報復』や『制裁』措置に対しても即時、全面戦争を含む様々な強硬措置を採ると強弁している。(李鎮洙)

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