インタビュー中、ずっと緊張が解けなかったぺ・ヨンスさん。

生活に追われる若者の不安、恨み、そして失望 4
取材・整理 リ・ジンス(二〇〇九年六月取材)

〈インタビュー2〉ペ・ヨンスさん 二五歳男性 下
Q:北朝鮮では去年(二〇〇八年)よりも生活が厳しくなったという話を、よく聞きますが?
A:なぜだか理由はよくわかりませんが、去年よりも収入が減って生活が大変です。家を直したりする人が減ったので、仕事がありません。今年は本当に大変です。去年はそれでもたまには母にお米の重湯を飲ませてあげられたのですが、今年はどんなに母が大変でもそれができません。清津でも去年は道に倒れている人なんか見なかったのに、今年は目に付きます。市場に行ってもコチェビが増えました。
去年一度中国にこっそり来て、一ヶ月くらい畑仕事を手伝って一〇〇〇元以上もらいました。朝鮮では仕事がないので、もう一度来ようと決心しました。

Q:一〇〇〇元あれば朝鮮では大金ですよね?
(一〇〇〇元は約五五万ウォン)
A:はい。本当に助けになりました。溜まっていた家賃も払えたし、何年かぶりに母にリンゲルが打てて体調が良くなったし、一息つけました。

Q:二度目の中国ですが、中国のどういうところがうらやましいですか?
A:電気がちゃんと来ること、交通の便が発達していること、生活が豊かなこと......、全部うらやましいです(笑)。中国で犬や豚が食べているものを見ると、正直、朝鮮で人間が食べているものよりずっとましです。しかも犬や豚は仕事もせずに遊んでいても食べられるというのに。私たちは一生懸命仕事をしても満足に食べられません。

Q:今年はそれほど大変ですか?
A:万策尽きて家を売ったお金で食べたいものをお腹いっぱい食べて、最後に毒薬を飲んで自殺する家族が少なくありません。それほど食べていくのが大変なんです。
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