住民の生活に大きな影響も...トウモロコシ粥が主食に
5月中旬から6月にかけて比較的安定していた物価とレートが、最近になって激しく変動している。咸鏡北道に住む取材パートナーであるイム・チョミ通信員によると、咸鏡北道北部茂山郡のコメの価格はわずか三週間の間に二倍近くに跳ね上がり、人民元との交換レートも50%上昇したという。

6月22日当時、キロ当たり520ウォンで取引されていたコメが、7月16日現在900ウォンで取引されている。また、中国人民元との闇交換レートも同じく100元あたり12000ウォンから18000ウォンにまで上昇したという。

イム通信員によると、このような急な変化は6月末から始まった。その背景について茂山郡のジャンマダンの商人たちは「中国元の価値の上昇が、コメ価格に影響を及ぼしている」と話しているとのことだ。だが中国元が高騰した理由についてはよく分からない部分が多いという。

韓国の北朝鮮専門インターネットメディア「デイリーNK」や「良き友人たち」も同様の報道をしている。「デイリーNK」7月19日付け記事『北朝鮮、食糧価格1000ウォン突破...超インフレ警告』によると、咸鏡北道の会寧市ではコメ1キロあたり1050ウォンで取引されているという。また、中国元は平壌では100元あたり19500ウォンで交換されていると消息通の話を引用している。

一方「良き友人たち」もニュースレターを通じ、咸鏡北道清津市の19日のコメ価格を1200ウォンとし、中国元との交換レートを100元あたり22000ウォンと伝えている。いずれのメディアでもここ二、三週間のうちに価格が高騰した点は共通している。同様に、トウモロコシの価格も15日から19日までのわずか四日の間で、400ウォンから700ウォンにまで上昇しているという。

統合された市場、金融システムを持たない北朝鮮では、地域ごとに価格やレートに差が出る傾向がある。しかしながら現在、北朝鮮の広い地域で物価が上昇し、朝鮮ウォンの価値が下落している兆候が見られるのは確かなようだ。
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