早朝、労働鍛錬隊の収容者がトラックに乗せられて労働現場に運ばれていく。男女両方の姿が見える。(2008 年9 月黄海南道海州市 シム・ウィチョン撮影)

早朝、労働鍛錬隊の収容者がトラックに乗せられて労働現場に運ばれていく。男女両方の姿が見える。(2008 年9 月黄海南道海州市 シム・ウィチョン撮影)

 

インタビュー:強制送還された脱北女性の証言5
聞き手 石丸次郎

◆〈インタビュー 1〉Aさん (5)
取材:二〇〇八年九月

所内での労働
Q:女性収監者を担当するのは女性の保安員(警官)ですか?
A:はい。管理課の建物の中では年配の女性保安員が警備し、田畑で仕事する時は若い女性保安員が警備に立ちます。

Q:周辺には一般の村のようなものはなかったんですか?
A:集落はありますが、保安員(警察官)らの家族らが住んでいて、またそこで警察のために仕事をする労務人員たちが住んでいます。

Q:協同農場はないんですか?
A:ありません。そこの田畑はすべて教化所の囚人で耕していますから、一般の農場や工場のようなのはなくて、労務人員家族と保安員家族たちが住む集落があります。田植えの時はその人たちも動員されて手伝います。

Q:宿舎はどんな様子ですか?
A:一般の家のようです。長く一列に繋がっています。

Q:あなたはどんな仕事をしましたか?
A:稲作です。広いですよ。私たちの班は五、六〇人いて担当が一九町歩でした(一町歩は約〇・九九一七ヘクタール)。それをすべて人が手で田植えをして草取りをして、刈り取って脱穀します。全部人力でやるんですよ。私のいた管理課には稲作だけをやる班が四つありました。他の管理課にも稲作専門の班がありましたから、全体で言うと相当広いですよ。

Q:機械化されていない?
A:機械といっても、トラクターで田をおこすだけでした。

Q:甑山での一日の日課について話して下さい。
A:田植えの時期には朝四時に起きて食事をして、五時半か六時なれば田に出て行きます。田植えの季節は忙しいですよ。午前に大体三〇分程度休息があって正午一二時に昼食です。田植えの時は《移動飯》と言って、管理課の建物に戻って食べるのではなく、田畑に食事を運んで食べます。午後にも三〇分間の休憩があって、四時に《中菜》といってまた食事を摂ります。農繁期はしんどいので、食べさせないと人は耐えられませんから。
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