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ウシャが生まれ,育ったロルパ郡マディチョール。(撮影:小倉清子)

ウシャが生まれ,育ったロルパ郡マディチョール。(撮影:小倉清子)

■第3回 女性ゲリラ第一号
マディチョールにはインド・アーリヤ系の低位カーストに属するダリットと、最高位カーストのバフン(ブラーマン)に次ぐカーストであるチェトリに属する数家族が住む以外は、すべての住民がマガールである。

言葉もネパール語とはまったく異なる、独自のマガール語を話す。ヒンドゥー教の教えに従って、生涯、男性に従属して暮らさなければならないインド・アーリヤ系の女性に比べて、マガールの女性たちは家や社会のなかでより自由で強い立場を持つ。

家のなかでは妻が財布を握り、夫は重要な決定をするときに妻に相談する。そしてほとんどの男女は、二十歳になる前に好きな相手と結婚するのが一般的である。マオイストの"女性ゲリラ第一号"は、こうしたマディチョールのマガールから生まれた。

私が初めてウシャに会ったのは、2006年1月、首都カトマンズの東にあるシンドゥパルチョーク郡の山村で開かれたマオイストの集会でだった。当時、ネパールは国王が率いる政府の支配下にあったが、山岳地帯のほぼ全域はマオイストの支配下にあり、その武装勢力が自由に活動していた。

カトマンズから"招待"された何人かのジャーナリストのなかで、私は唯一の外国人であり女性だった。集会の途中、以前にも何度か会ったことのある、党中央委員の"カンチャン"ことアグニ・サプコタが、私を1人の女性マオイストに紹介してくれた。その女性がウシャだった。
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