しかし、それでも正恩氏、太りすぎだ。これでは金日成似というプラスを帳消しにして余りあるのではないか。丸々と肥えた正恩氏を見て、北朝鮮民衆は「ケッ」「チッ」と舌打ちするのではないかと思う。
現金収入の減少で食べ物にアクセスができず、今、地方都市では餓死者が出ている。軍隊では、末端の兵士たちの食事内容があまりにもひどいため、入隊数カ月で栄養失調になる兵士が何年も前から続出している。

食べ物の恨みは怖い。まだ20代の若者であんなに太っているのを、筆者は北朝鮮でも、内部記者撮影の映像でも見たことがない。あの映像と写真をみてどう思ったか、北朝鮮の内部パートナーたちに聞いて、あらためて報告したい。
金正恩は「首領絶対制」も継ぐのか?

北朝鮮の現在の体制をどのように定義すべきか?
多くの研究者を悩ませてきたテーマである。
北朝鮮は一応、社会主義を標榜しているが、その実態は故金日成と金正日を唯一絶対の指導者とし、家長のように崇拝することを国民に強要する、儒教的色彩の濃い「変な国」だからだ。

ネットでも簡単に日本語訳が探せるので、一度北朝鮮憲法の序文を読んでみることをお勧めする。国家としての北朝鮮の正体の一端が見えるはずだ。
そこには、金日成がいかに愛国的であり、いかに人民のために苦労したか、また彼が平和を希求する世界的にも偉大な政治家で、思想と芸術の天才だ、などなど、約1200字にわたって金日成に対する礼賛が延々と書かれている。

昨年改訂された憲法の序文は次のように始まる。
「朝鮮民主主義人民共和国は、偉大な首領金日成同志の思想と領導を具現した主体の社会主義祖国である」

この一文からもわかるように、北朝鮮という国は、社会主義という土台の上に金日成を神のように絶対化した体制が乗っかった「二段構造」になっている。北朝鮮は、徹頭徹尾「金日成の国」なのである。
その金日成は1994年7月に急死した。
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