マガールが住民の大半を占めるマディチョールと違って、リバンにはヒンドゥー教の最高位カーストに属するバフン(ブラーマン)が大勢住んでいた。カトマンズから派遣されてきた役人の大半もバフンである。

リバンで、ウシャは初めて、自分がバフンやチェトリら高位カーストの人たちから差別されていると感じた。
ロルパの先住民族であるマガールの人たちは、ネパール語を話すバフンやチェトリが彼らの土地に入ってきてから、自分たちの言葉を捨ててネパール語を話すようになった。

今もマガール語を話すのは、マディチョールがあるジャンコット村を含む中部ロルパと、後に詳しく語る北部ロルパにある"マオイストの首都"タバン村など、ごく一部の村だけである。

ウシャは自分がマガール語を話すために、リバンの人から馬鹿にされているように感じた。後に、この感情は「マガールは不正に差別されている」という考えになり、反国家感情へとつながるのである。
(つづく)

【連載】 ネパール マオイスト・女性ゲリラたちの肖像

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