自転車の荷台に豚を乗せて歩く住民。販売可能な地域では、豚肉は1キロあたり5000ウォン(約120円)で取引きされていると、北朝鮮内部で取材を行う金東哲(キム・ドンチョル)記者は語る。コメの約2.5倍の値がついている計算だ。2010年6月 平安南道 撮影 金東哲(アジアプレス)

 

◇平壌市郊外の江東郡で12月上旬に発生

口蹄疫発生の第一報は12月半ばだった。
北朝鮮内部の取材パートナーの李美英(リ・ミヨン)氏がアジアプレスに電話で報告してきたところによると、
「12月上旬に平壌市郊外の江東(カンドン)郡の九賓(グビン)里で家畜の伝染病が発生して、当局が他地域との移動統制を強化している」
とのことだった。

その後、アジアプレスでは北朝鮮内部で取材活動をする金東哲(キム・ドンチョル)氏に確認を依頼。12月26日の電話で
「病気は口蹄疫。江東郡と隣接する地域の市場で豚肉の販売が一切禁止されている。検問も強化されて住民の出入りが不自由になっている」
と伝えてきた。

金記者は1月16日の通話でも、口蹄疫は収まる気配が見えないと伝えてきている。
ただ、牛は北朝鮮では基本的に食用ではないため、もともと販売されておらず、市場への影響はないという。

市場で豚肉を売っている。豚肉商売は穀物商売よりも稼ぎが良いという。値段はグラム単位。秤を用い、重さを厳しくチェックして売る。2010年6月 平安南道 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)(アジアプレス)

北朝鮮の公設市場の様子。売り手は場所代を払い、売り台を確保する。2009年11月末に行われた「貨幣交換(デノミ措置、通貨ウォンを100分の1に切り下げ)」により、市場での品物取引は大きく減り、今も3割以上減ったままだと、撮影者の金東哲記者は語る。写真は2枚とも北朝鮮の物流の一大中心地である平安南道の平城(ピョンソン)市場。2010年10月 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)

 

現時点では、北部の地域からの発生情報は伝わっていない。
(石丸次郎)

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