朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」(〇九年一二月一一日付)によると「貨幣交換」措置の目的は、大まかに言うとインフレを退治することと、市場の役割を減じ、統制計画経済の復活を目指すというものだった。

この措置によって、庶民から商売で成功した新興成り金、企業所に至るまで、非常に多くの人と機関の手持ち資金が紙くずになった。実質的に国家によって没収されたに等しい。その結果、市中にあった流動資金が激減した。通貨ウォンに対する信頼喪失と、将来に対する不安から、物資の売り控えが横行した。仕入れの資金が不足して市場での流通が大きく滞ってしまった。この「貨幣交換」措置からおよそ一年半が経ち、直後のパニック的な騒動は収まったが、この間目立って深刻だったのは次の四点である。

◆ 超インフレの進行
◆ 現金収入の減少
◆ 軍などの「優先配給対象」への食糧配給の著しい質的量的な低下
◆ 電力難

これらによってもたらされたのは、コチェビの増加、餓死者や自殺者の発生、企業所の稼働がさらに低下するという現象である。
(つづく)

 

外貨を流通させる者を死刑も含む厳罰に処するとした布告文。全国の公共の場所に貼られたが、外貨流通は止められず3月頃にははがされたという。(2010年1月平安南道 キム・ドンチョル撮影)

外貨を流通させる者を死刑も含む厳罰に処するとした布告文。全国の公共の場所に貼られたが、外貨流通は止められず3月頃にははがされたという。(2010年1月平安南道 キム・ドンチョル撮影)

 

〈リムジンガン〉混迷深める北朝鮮経済(1)-2
〈リムジンガン〉混迷深める北朝鮮経済(1)-3
〈リムジンガン〉混迷深める北朝鮮経済(1)-4
〈リムジンガン〉混迷深める北朝鮮経済(2)-1
〈リムジンガン〉混迷深める北朝鮮経済(3)-1

★新着記事