今年3月、軍政から「民政」に移管したビルマ(ミャンマー)ではいま、劇的ともいえる変化が次々と起こっている。
新しく選出されたテインセイン大統領が民主化運動指導者アウンサンスーチー氏と直接会談し、また、これまで国内ではアクセスがブロックされていた動画投稿サイト「ユーチューブ」(YouTube)の視聴が可能になるなど、インターネット規制も緩和された。
従来はタブーとされてきたスーチー氏の写真が掲載されている新聞や雑誌も街頭で売られはじめている。

地方都市の役所では、長年にわたり独裁体制を敷いてきたタンシュエ上級大将の肖像写真が一番目立つところに飾られてあった。他の場所でも同様に肖像写真が掲げられたままだった。(撮影:宇田有三)

 

軍事政権による統治は半世紀近くにわたって続いてきた。
今のところ、これらの目に見えるような変化は外国人の多い最大都市ヤンゴン(ラングーン)や首都ネピドーだけのようだ。
ある地方都市の役所を訪れてみると、これまで絶対的な支配権力を振るっていたタンシュエ上級大将の肖像写真が、「民政」移管して半年が過ぎた8月末になっても飾られたままになっていた。
現在も軍部の強い影響力がおよぶ地方都市では、人びとにとって変化は身近に感じられるものとはなっていないようだ。
ようやく見え始めた変化の兆しだが、今後、ビルマの真の改革へとつながってゆくのだろうか。
【宇田有三】

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