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砂金採りの様子。海州製錬所の沈殿地では学校に通う歳の小さな子どもから、中年の女性まで多くの人が働いている。もちろん、違法行為だが生きるためにはやるしかない。(上下とも2008年10月 シム・ウィチョン撮影)

砂金採りの様子。海州製錬所の沈殿地では学校に通う歳の小さな子どもから、中年の女性まで多くの人が働いている。もちろん、違法行為だが生きるためにはやるしかない。(上下とも2008年10月 シム・ウィチョン撮影)

談:チャン・ユチョルさん
取材:パク・ヨンミン
整理:リ・ジンス

(きん)をさばく
パク:チャンさんはどれくらい稼いでいたのですか? 毎日採れる砂金の量はせいぜい〇・〇五グラムくらいで、稼げて一〇〇〇ウォン、二〇〇〇ウォン程度だと聞きましたが......。
チャン:それはさっき話したような、ひしゃくで水をかけ、砂金を取り出す末端の仕事をしている人の話だ。私はいわば元締めのようなことをやっていたので、稼ぎはずっと良かったよ。

パク:それは人を雇用していたということですか?
チャン:そうではなくて、人々が集めた金を買い取っていたわけさ。砂金を加工して(純度の高い)金を取り出すことが上手くできない人もいるから、そういうことを代わりにやってあげたりもした。

パク:そうやって集めた金は、どうやって売るんですか?
チャン:私の場合は新義州(シニジュ)の方に運んで売っていたね。

パク:売る相手は中国人(華僑)ですか? 朝鮮人ですか?
チャン:両方いたね。

パク:新義州は中国が目と鼻の先ですよね。するとやはり金は最終的に中国に売られていくということですか?
チャン:そう。言わずもがなだ。

パク:それは正式な輸出なんですか?
チャン:いやいや密輸だよ。金を持ち出そうとすると税関で引っかかるから。

パク:どれくらいの規模で取引していたんですか?
チャン:二〇〇四年から〇五年ころには、最高で一度に一六五万ウォン(二〇〇四年月当時のレートで約一五万円)分の金塊を売りさばいたよ。

パク:金の売買に対する取締りは厳しいんですか?
チャン:非常に厳しいね。一〇グラム、二〇グラム運ぶのにも非常に神経を使う。新義州に運ぶ時は、同じように金を扱う人間が持っている小さなトラックを使って運ぶんだよ。

パク:金は隠して運ぶんですね?
チャン:そう。哨所(通行証や禁制品の所持をチェックする検問。新義州周辺は特に厳重なことで知られる)の連中も金属探知機を持っているから、下手に隠すと大変なんだ。靴の底に隠そうとしても、隅々まで全部調べるほどだ。服も全部脱げといわれるし。本当に朝鮮で商売しようと思ったら命がけだよ。車のシートの下や体の中に隠したこともあったな。隠すのは男よりも女のほうが上手いんだ。

パク:確かに男はすぐに顔に出てしまいますよね(笑)。「一〇号哨所(保衛部[情報機関]が運営する哨所。厳しいチェックが行われることで有名)」などではどうやり過ごすのですか?
チャン:金以外の商売でも新義州に行く用事があったので、普段から顔なじみになって仲良くしていくことが大切なんだ。哨所で車を降りる際、笑顔でこちらからまずタバコを一カートン渡す。すると、決まって向こう(保衛部員)は断るんだ。
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