シリーズ化された一連の取材は、ブッシュ元大統領の資金源が破綻したエンロンだった事などを明らかにした。その他、イラク戦争で巨額の契約を得たハリーバートン社と当時のチェイニー副大統領との親密な関係を暴くなど、ワシントンをめぐる政治と金を追い続けた調査報道の中には、国際的に報じられた特ダネも少なくない。

当初は記者会見をして発表していた調査報道の内容は、1999年から自前のウエッブサイトでの公表に切り換えられた。今、ウエッブサイトの内容は次々と更新されている。非営利ジャーナリズムでこれだけのペースでトップ記事を差し替えられるところは少ない。記者50人を擁するから出来ることだろう。

団体名にある「Integrity」という言葉は、日本人には、実に発音しにくい。発音しにくいだけではなく、意味を日本語に訳するのが一苦労だ。辞書で引くと、「正直さ、誠実、高潔、清廉」などと出てくる(ジーニアス英和大辞典)。「honestyより堅い語」とも書いてある。団体名を意訳して、「社会の公正を追求するセンター」とするのだろうか。気恥ずかしくなるような名前だ。

その気恥ずかしさは、ルイスも否定はしなかった。インタビューの中でこの団体の名称について尋ねた時、ルイスは次の様に話して笑った。

「確かに、気恥ずかしい名前だとは思う。でも、60ミニッツ(CBSテレビの看板報道番組)のプロデューサーを辞めた時、子供は小さく、家のローンも残っていた。だから、『これから凄いことをやるんだ』と自分に言い聞かせる必要があった。Integrityという言葉にはそういう思いを込めた」

まだ非営利ジャーナリズムの先例が無い時期のことだ。小学生の娘を抱え、自宅を担保に借金して始めた活動だったという。彼は何を考えてCPIを作ったのか?次回から、ルイスの考え方を通して、非営利ジャーナリズムとは何かを考えたい。

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