「政治的無駄使いの極地」と批判されているイルカショー施設。正恩氏の強い要望で、故金正日氏が建設を進めたといわれる。(写真 朝鮮中央通信より)

「政治的無駄使いの極地」と批判されているイルカショー施設。正恩氏の強い要望で、故金正日氏が建設を進めたといわれる。(写真 朝鮮中央通信より)

 

しかし、今年に入り穀倉地帯の黄海道を中心に多くの餓死者が発生するなど、人民経済は混乱が続いており、イルカショー施設など不要不急の娯楽施設の建設は、平壌市を対外的に「見栄え良く」し、新指導者による「人民への恩恵」を宣伝するための、まったくの「政治的浪費」だと言える。

平壌市から中国に一時的に越境してきている女性に、イルカショー施設などの遊園地建設についての感想を聞くと
「今年に入って商売もまったくうまくいかず、農村では飢え死にも出ている。民衆から搾り取った金、つまり人民の血と涙を、自身の趣味とか政治宣伝のために使うのは許されない。イルカのために使った金があれば、民衆は飢えずに済むはずです」
と、厳しく批判した。

朝鮮中央通信は、金正恩氏がこの遊園地の建設にひとかたならない熱意を見せてきたことについて、次のように伝えている。
「綾羅人民遊園地は、金正日総書記が特別に関心を払い、敬愛する金正恩元帥が心血と情をささげて完成させた人民愛の結晶体であり、社会主義万年の富である」。

なお、25日の竣工式には、北朝鮮の党と軍の中枢幹部がほぼ顔を揃えて参加したことも注目される。李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長の電撃的解任にも体制が安定していることを誇示するかのようだ。同通信によれば参加者に名を連ねたのは以下の各氏。
金永南、崔永林、崔龍海、金慶喜、金正角、張成沢、金永春、金己男、崔泰福、楊亨燮、姜錫柱、金元弘、金養建、金永日、金平海、文景徳、郭範基、盧斗哲、李炳三

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