◆貧困・格差がもたらす制裁選挙
今回の衆議院議員選挙のポイントは何か?貧困・格差問題、橋下現象、憲法改正の三つのテーマについて、社会運動家の湯浅誠さんに聞いた。(聞き手 石丸次郎)

社会活動家の湯浅誠さん(撮影 アジアプレス南正学)

社会活動家の湯浅誠さん(撮影 アジアプレス南正学)

 

石丸:景気が悪い、格差も広がる、働き方も不安定な人が増えている。そうした中で、有権者としてどういう視点で投票に臨んでほしいと考えますか?
湯浅:「制裁選挙」という考えを改めなければなりません。かつては、自民党に対する制裁として民主党に投票し、今回は、民主党に対する制裁として、自民または維新に投票する。そういう、懲らしめてやろう的な動機で、不信感をテコに、別の政党に入れる。そのモードでこの10年くらい来ています。

毎年総理が代わるのも、基本はそこではないのかと思います。要するに、「そんなに大きく変わらないじゃないか」と、一気に支持が離れていく。その支持が離れる引き潮みたいなものの力を受けるから、対抗馬は人気が急に上がって、その人が総理になる。けれどまたその潮もすぐ引いていく。

就任時の支持率は常に歴代3位とか4位とすごく高いんですけど、半年もしないうちに20パーセント台とか10パーセント台まで落ちるということが毎回起きています。個々の政党がどんなことをやってきたのか、次に政権を取ることで何を始めようとしているのか。そうしたこととは無関係に、人気のアップダウンを繰り返す。それが「制裁選挙」です。次にどこが与党になろうが、また同じことが起こるでしょう。でもこれをずっと繰り返していると、何も改善されず、本当の問題にも向き合えません。
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