在日朝鮮人を主な標的とし、かれらの「特権」剥奪を叫びながら、「殺せ」、「出て行け」といった過激な言葉を用いて街頭宣伝を行う「ヘイト活動」が社会問題として大きく浮上している。ヘイト活動とは何なのか。排外主義団体の叫ぶ「在日特権」とはそもそも存在するのか。この問題を長年追いかけてきたジャーナリストの安田浩一さんに聞いた。(ラジオフォーラム リ・シネ)

日章旗を掲げ、「ゴミはゴミ箱へ 朝鮮人は朝鮮半島へ」と書かれたのぼりを持って 大阪・難波を行進する排外主義団体(2013年5月26日 撮影 リ・シネ)

 

Q:安田さんがヘイト活動を追いかけるようになった動機は何ですか?
安田:週刊誌の記者として外国人労働者問題などを扱っていましたが、2000年ごろから「外国人は出ていけ」という言説をよく目にするようになりました。そこから興味を持つようになりました。

Q:団体やグループとしてヘイト行動が行われるようになったのはいつごろからでしょうか?
安田:もともとインターネット上では、そのような言説は昔から多く見られました。いわゆる「ネット右翼」、「ネトウヨ」と呼ばれるものですが、それが路上に飛び出してきたのは2005年か6年ぐらいのことです。

Q:その中心にあるのが「在日特権を許さない市民の会」(在特会)ですね。
安田:はい。インターネット上で、「在日コリアンは日本人より優遇されている」、「特権を持っている」といった、ヘイトスピーチの元となる言説を掲示板などに書き込み、奪われたその権利を日本人は取り戻さなくてはいけないと主張する人々が集まって出来たグループです。

Q:在特会の会員は何人ぐらいですか?
安田:結成当初は数百人でしたが、現在は1万3000人ほどです。直接活動には参加せず、情報を入手するために会員登録しているだけという人も含まれますが、市民団体としては規模が大きい方で、各地に支部を持っています。今年に入ってから東京の新大久保、大阪の鶴橋といった在日コリアンの集住地域で排外デモを繰り返す人々の、中核的な存在となっています。
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