カミシュリ市のYPG支配地区に暮らすムスタファさんは自由シリア軍を支持している。部屋の奥にしまってあった自由シリア軍の旗を見せてくれた。「この旗がYPGに見つかれば何を言われるか分からない。アサド政権の政府軍を町から追い出しても、自由が得られるわけじゃない」。(ハサカ県カミシュリ3月下旬撮影 玉本英子)

 

シリア北東部のカミシュリ市は、クルド人組織の人民防衛隊(YPG)と、アサド政権の政府軍が町を分断して支配を続けている。
YPGの支配地区に暮らすムスタファさん(仮名55)は、自由シリア軍を支持している。「クルド人だけではなくシリア全体のことを考えているから」という。しかしそれを近所の人に言うことはできない。
「YPGに知られたら、自由シリア軍のスパイだと思われるかもしれない」。

カミシュリ市のYPG地区では、YPGの許可なしのデモ活動や、銃の携帯は許されない。他の勢力が地区内で活動させないようにするためだ。
一方、自由シリア軍の支配地域で、YPG支持者だと言うことは危険だという。
「アサド政権の政府軍を町から追い出しても、他の勢力に従うしかないのであれば何も変わらない。何のための戦争なのか」。
ムスタファさんは、ため息まじりに話した。
【ハサカ県カミシュリ 玉本英子】

 

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