解決策の1つとして、調査報道ジャーナリズムを「非営利」や「第三セクター」の分野に移すという方法がある。実際、アメリカン大学客員特別ジャーナリストのチャールズ・ルイスによって設立された非営利ジャーナリズムのCenter for Public Integrityは、この選択が有効である事を示す素晴らしい実績を示している。

このCPIスタイルの非営利ジャーナリズムはチャールズ・ルイスの指導を得て全米に広まり始めている。例えば、UCバークレー(カリフォルニア州立大学)では、学生が調査報道の重要な担い手になるプログラムが作られている。』
また文書には、「IRWの目指すものとその機能」として次の様な点が挙げられている。

『IRWは生徒に対して、刺激的で新しい学びの機会を提供する。また、教員に対しては教育と研究の場を提供する。我々はこれを世界中の優秀な調査報道ジャーナリストを集める磁石として活用したい。IRWは、アメリカン大学コミュニケーション大学院をジャーナリズムの最先端の場として評価を高める事になるだろう。そして、特に大学院に於いて、優秀な学生を集めるのに役立つだろう。

IRWのモデルは、セサミストリートを制作しその後の教育テレビの保育器且つ革新的な存在となったチルドレンズテレビジョンワークショップ(Children's Television Workshop)にある。私たちはこれまで調査報道を担ってきた主要な報道機関にとってかわろうとするものではない。それよりも、調査報道を全米、全世界に届ける為、それらの報道機関と連携を模索したい。』

また、IRWの役割については以下のよう書いている。
『1:活字や映像による独自の調査報道を行い、マルチメディア展開する。その活動には、アメリカン大学コミュニケーション大学院の教員や学生も参加する事が出来る。また、他の非営利ジャーナリズム団体やフリーランスの調査報道ジャーナリストもパートナーとして参加する事が出来る。
2:調査報道の新たな手法や技能を実践する為の革新的なプロジェクトを行い、その為の保育器の役割を担う。それらのプロジェクトには報道各社、非営利ジャーナリズム、大学などがパートナーとして参加できる。
3:調査報道についてのアカデミックな研究について支援する。
4:調査報道の発展や新たな技能の試みの為の実験室となる。
5:調査報道に関する資料を収集する。
6:調査報道を志すジャーナリストの為の資料センター兼情報センターとなる。特に、市民ジャーナリストや国際的な団体によって支援されている非営利のジャーナリズム団体をその対象とする。
7:その他、自由な社会に資する調査報道を促進する為の様々な活動を促進する。』

非常に意欲的な内容だ。こうして2008年3月に始まったIRWは、既に紹介したジョン・ダンバーの通信事情をめぐる問題や前回紹介したベテラン・ジャーナリストとの共同プロジェクトなど、次々と調査報道に取り組んでいく。

<<<連載・第20回   連載・第1回>>>
連載第1回は会員でなくてもお読みいただけます。