◇水ではなく金属で冷やせ
R:その後も、水が溢れて漏れ出すとか作業員の方が汚染水を浴びてしまうとか、汚染水に関わる事故が多いのですが、そもそも水で冷やすという方法を考え直すべきなのでしょうか。

小出:私もそう思い、そういう発言をはじめています。事故が起きた当初は、炉心を冷やすには水しかないとずっと思い続けていて、真水がないなら、海水でもいいし、海水がうまく利用できないのならば、泥水でいいからとにかく水を入れてくれ、と頼んでいました。

ものを冷やすのに水というものは最高のものですから、それしかないと思ってきましたが、すでに事故から2年7ヶ月が経ち、崩壊熱というものは随分下がっていますので、今は金属で冷やすというやり方を提案しています。水との接触を断つということは必要だと私は思います。

R:金属で冷やすと汚染水は生じないということですよね。

小出:金属冷却にしたからといって汚染水がすぐになくなるというわけではありません。原子炉建屋、タービン建屋には汚染水が溜まっており、そこはもう地下水と一体となってしまっているわけです。

汚染水問題を解決しようとするのであれば、まず、溜まっている汚染水をどこか別のところに汲み出すという作業をしなければいけませんし、新たな地下水が流入しないように遮水壁というものを作らなければいけません。根本的な解決までにはまだまだ大変な時間がかかってしまうと思います。

R:東京電力を見ていますと、それを全て任せるというのは難しいですね。

小出:もう企業が担えるような仕事ではないのです。そのことを皆さんもっとはっきり知るべきだし、政府もきちっとそれを言わなければいけないと思います。
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