◇汚染水を出さない方法

R:小出さんは最近、水による冷却以外の方法を考えたらいいのではないかと発言されていますね。

小出:もう福島第一原発の敷地内が汚染水のタンクで埋まってしまっている状態ですから、近い将来破綻するしかないというところに来ているわけです。そこで私としては、もう水はそろそろやめたほうがいい、という発言を始めました。

R:具体的にはどのような方法があるのですか。

小出:今、私が考えているのは金属です。例えば、鉛とか、錫(すず)とか、ビスマスとか、比較的融点の低い金属 がいいと思います。炉心はすでに熔け落ちてしまい、どこにあるかすら分かりません。でも、どこかにあるはずの炉心に向かって、もし、金属を届かせることが できるならば、その金属が炉心からの発熱を除去してくれるはずだと期待しています。

R :その方法は、他の方法よりも効果的だということですか。

小出:その方法がうまくいくかということは、私自身も自信がありません。人類、そんなことをやったことがないわ けで、福島第一原発事故というのは人類が経験したことのない本当に酷いことが起きているわけです。ですから、どうやって対処すればいいかということを経験 的に知ることはできませんし、とにかく知恵を集めてやってみる、という段階なのです。

東電、或いは政府の人たちがほとんど外部からの知恵を集めないまま、水だけを使ってこれまでやってきたわけです。けれどもここまで来てしまったわけですから、様々な分野の専門家の知恵を集めて、何とか少しでも良い方法を探さなければいけないと思います。

R:素朴な疑問ですが、冷却に使用した錫や鉛が、今度は汚染錫とか汚染鉛となって、その処理に困ることはないですか。

小出:もちろんあります。鉛・ビスマス・錫にしても、有毒金属ですからそんなものをじゃーじゃーと流してはいけ ないわけです。これからそれをどうやって処理をするか、その課題ももちろん残ると思います。しかし、今までのように水をかけるというやり方は本当に近い将 来破綻が分かってしまっているわけですから、汚染水の発生を抑えるために、金属による冷却をなんとかやるしかないと私は思います。
本来であれば事故当初から、政府が主導して、世界中の専門家、専門機関と連携し、その英知を集めてこの未曾有の国難に当たるべきだったのだが、様々な場面で破綻の兆しが見え始めている今となっても、東電はもちろん、政府にもその姿勢は見られない。

 

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

 

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