◇強大な権力を誰がどう受け継ぐのか注目 「張氏の代わりはいない」との見方も
(本紙特約=「デイリーNK」イ・サンリョン記者)
今月3日、韓国の国家情報院(情報機関)が、北朝鮮の金正恩第1書記の叔父・張成沢国防委副委員長が側近の「不正行為」容疑により失脚したと発表したことを受け、北朝鮮の権力構造に今後、大混乱が予想される。

張成沢氏は朝鮮労働党行政部長、国防委副委員長、党政治局委員、国家体育指導委員会など北朝鮮の主要な職責を担っていたため。こうした中、金正恩氏が張成沢氏の側近を召還・解任させ、自身を擁護する人物で再編成を行い、権力の安定化を図るのではないかという見方が強い。

特に、張氏の職責の一つである党行政部長は、国家安全保衛部(情報機関)と人民保安部(警察庁)、検察所、裁判所など北朝鮮の司法・検察・公安機関を総括指揮する労働党の核心部署であり、屈指の権限を行使するため、今後、これらの権限を誰がどのようにして引き継ぐのかという点が注目される。韓国の北朝鮮専門家たちに、張氏解任後の北朝鮮をどう見るか話を聞いた。

匿名希望の北朝鮮専門家はデイリーNKに対し
「張成沢が行政部長として公安機関を持続的に管轄し、(中国など)海外業務などを長い間担当してきたため、張の人脈は幅広い。海外に滞在する外交官たちを召還し粛清する可能性もあり、今後の波紋が大きいものと予想される。今回の動きは金正恩が思想、組織、規律を一つにまとめ、権力の『唯一領導体制』を構築しようとしているものと見られる。軍隊の核心権力層を味方勢力に交代しており、党内部も金正恩式新進勢力で埋めていくだろう」
との見方を語った。

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