12月12日国家安全保衛部特別軍事裁判で死刑判決を受けた張成沢氏(労働新聞より)

12月12日国家安全保衛部特別軍事裁判で死刑判決を受けた張成沢氏(労働新聞より)

◇恐怖感がまん延する中、「自白書」提出を強要

(ペク・チャンリョン)

張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長の処刑事件により、北朝鮮の現地住民に恐怖感がまん延する一方、金正恩政権への反感が一部表面化していることが、北朝鮮内部の取材で分かった。

北朝鮮北部の国境都市に住むアジアプレスの取材協力者は15日の晩、通話で
「今、人々はおびえています。『あんなに権力の強かった人(張成沢)も殺してしまうのに、私たちのような(弱い)人間はいったいどうなるんだ』と言い合っています。私の住む地域でも、今回の張成沢事件と関連し、死ぬことになる人が多いでしょう。(張氏人脈は)みな粛清するという話ですから」
と語った。誰がいつ、どんな疑いをかけられるか分からないという点が、住民たちの恐怖感を煽っているようだ。

取材協力者はまた
「『自首政策』という言葉が登場しました。(当局は)すべての北朝鮮の公民は12月末まで自首しなければならないとして、期限内に自首した者は容赦するが、そうでない場合は容赦しないと公表し、老人からも『自白書』を集めています。だいたい、張成沢まで銃殺したという報道が出ているのに、人々が震え上がらない訳がありますか?なので、みな『自白書』を書いて提出しました。我々庶民には何の罪もありませんから」
と明かした。

『自白書』とは、先日アジアプレスが報道した『反映文(反省文)』のこと。国営メディアを通じ発表された張成沢氏の「罪状」を自らに照らし合わせ、自己反省、自己批判を書き記す。
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