シリア北部では、戦闘で道路が寸断され、町には物資が届かない。わずかに残る青果店では、近くの農村から野菜や果物をかき集める。輸送費も高騰し、ほとんどが内戦前の4倍以上に値上がりした。(シリア・アレッポ県 アイン・アル・アラブ1月撮影・玉本英子)

シリア北部では、戦闘で道路が寸断され、町には物資が届かない。わずかに残る青果店では、近くの農村から野菜や果物をかき集める。輸送費も高騰し、ほとんどが内戦前の4倍以上に値上がりした。(シリア・アレッポ県 アイン・アル・アラブ1月撮影・玉本英子)

 

◆物価は内戦前の4倍以上に...

シリア北部に位置するアイン・アル・アラブの周辺地域では、反政府勢力間の激しい戦闘が続いている。たびたび道路が遮断されるため、物資が入りづらくなっている。町の中心部にある多くの店はシャッターを閉じていた。

わずかに残る青果店のひとつに行ってみた。じゃがいもやトマトなど、最低限必要なものが並ぶ。近郊の農村からトラックで運ばれてくるが、砲弾が飛びかう地域を抜けてこなければならない。ガソリンも高騰し、輸送費が跳ね上がった。野菜は内戦前の4倍以上になった。

ハザール・ヌリさん(70)は、朝から安い野菜を探しまわっているが、高すぎて何も買えないと話す。飲料水や砂糖も手に入りにくくなっているという。

ハザールさんは、ねぎ4束だけを手に取った。4束で200シリアポンド(約145円)。内戦前はキロで売っていたため、束で売られるようなことはなかった。月給が2、3万円のこの町では、生活はひっ迫するばかりだ。

窮乏生活をしのぐため、家の庭を掘り起こし、野菜や薬草を栽培する家庭が増えているという。

「他の地域よりは食べ物があるから、まだましかもしれません。でもいつ食料がなくなるか分かりません」とハザールさんは言う。長期化する内戦の影響は市民生活を追い詰めている。

【シリア・アレッポ県アインアルアラブ 玉本英子】

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