R:ムダが少ないってことですね。

小出:そうです。 熱効率は既に60%を超えるというような高効率の発電所ができるようになっています。

R:原子力発電の2倍も効率的ということですね。

小出:そうですね。たとえば原子力発電所では100万キロワットの電気を起こすために、 200万キロワット分の熱を海に捨ててきたのですけれども、 もし、仮に原子力発電所の2倍の効率、つまり66%で火力発電所が運転できるのだとすれば、100万キロワットの電気を得るために海に捨てるのは50万キ ロワットで済んでしまう。つまり、海を温める割合が4分の1で済むのです。
発生する熱そのものも、100万キロワットの原子力発電所では 300万キロワット分熱を出さなければいけないわけですが、 熱効率66%という火力発電、コンバインドサイクルが利用できるならば、 発生する熱は150万キロワット、つまりもう半分で済んでしまうということになるのです。

湯浅:なるほど。

小出:もちろんそうすべきなのです。 原子力発電なんていう時代遅れのバカげた環境破壊装置は 即刻止めるべきだと私は思います。

R:火力と原子力を比べた中でも、このコンバインドサイクル方式が発展・普及していけばそれで十分じゃないかということになるということですね。

小出:もちろんです。 もう皆さんご存知と思いますが、2011年3月に福島第一原子力発電所が事故を起こして以降、ほとんどの原子力発電所は停止してきているのです。 現在も(14年4月現在)日本では原子力発電所がひとつも動いていないわけですけれども、 日本の電力供給に何の支障もありませんので、 即刻原子力発電を全部止めても実は困らないのです。それでも電力会社が原子力発電にしがみ付こうとしているのは、 既につくってしまった原子力発電所をすぐに不良債権にしてしまうと、 電力会社の経営が成り立たないという経営問題があるからなのです。

R:東日本大震災以降、このコンバインドサイクル方式が東京電力など6社でおよそ417万キロワットが整備されています。そして、2030年代までに10基分以上が整備される予定になっているようです。

小出:今後のことを思うのであれば、こんなにバカげた原子力発電をつくるよりは、 コンバインドサイクルの火力発電をつくった方がもちろん経営上も好ましいわけです。今後はどんどんそちらの方向に動くと私は思います。

R:火力発電というと、よくいわれるのは二酸化炭素(CO2)の排出ですね。 CO2を回収する技術の開発も進んでいるのですか。

小出:そうです。高効率になるにしたがって、 まず燃やさなければいけない燃料の量がどんどん減ってきていますし、 それにつれてCO2の発生量も減っているのです。 その上、CO2を回収する技術も進んでいますので、 二酸化炭素問題が重要だと言う人にとっても、こういう発電方式の開発はもちろん好ましいことになると思います。

R:つまり、一時的な政権の意向などといったものを超えて、技術的にも効率的にも、金銭的にも環境的にも、原子力よりこちらの方が明らかに優れているということですね。

小出:そう思います。

※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ