◇倫理委員会が決めた脱原発

R:では、日本も学べる点はたくさんあるということですね。

小出:もちろんです。先程から聞いて頂いたように、長期的な視野で国を動かさなければいけないということを、ま ずドイツからしっかりと学ぶべきです。これから廃炉をどうするのかということは日本でも当然重要なことになってくるので、ドイツのやり方というものをしっ かりと見ておくべきだと思います。

R:最後に、脱原発、あるいは再生可能エネルギーへの取り組みといった観点から、日本とドイツの一番の大きな違いは何でしょうか。

小出:先ほども聞いていただいたように、日本という国は目先の利益だけを求めてきてしまっているわけですが、それではいけないということだと思います。

日本というこの国は、とにかく金儲け、金儲けと言ってしまうわけですけれども、ドイツが脱原発を決めた最大の理由は、倫理的に正しくないということ なのです。政府の中に倫理委員会というものが立ち上げられて、原子力のテクニカルな問題だけでなく、原子力が持っている倫理的な問題、社会的な問題という ものまでも検討して、やはり原子力はやめるべきだという、そういう判断をドイツはしたわけです。

日本も人間の生き方というようなものも含めて、きちんと考えられるような体制を作るべきだと私は思います。
ドイツは脱原発の道を歩んでいるが、廃炉技術やこれまで出た高レベル放射性廃棄物の処分、電力の安定供給など、問題は山積している。

しかし、これらは脱原 発を決めたからこそ明らかになった問題であり、前に進みながら解決していくしかないだろう。ただ、ドイツも原発の輸出まではまだ禁止しておらず、国内での 脱原発との整合性が問われるところだ。

 

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

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