東日本大震災後の被災地におけるアスベスト飛散事故を伝える環境省の発表資料

東日本大震災後の被災地におけるアスベスト飛散事故を伝える環境省の発表資料

 

法改正は本質とずれと当初から批判

◇重要なのは監視の強化

2011年3月の東日本大震災以後に被災地で問題化したアスベストの飛散。その対策強化を図ろうと、2012年6月ごろから法改正が 検討された。だが、その水面下で、さしたる効果が期待できない測定機の導入が進められていた。なお、情報や取材対象の役職などは初出の2012年6月当時 のままである。(井部正之)

実は、厚労省も、空気中の繊維状粉じんを自動測定し、常時その計測値を見ることができるという測定機「リアルタイムモニター」導入に動いている。

新聞に法改正についての記事が掲載されるより一足早い2012年5月9日、同省はアスベストが使用された建物を解体するさいの技術指針を公示した。その中で、漏洩の監視にこのリアルタイムモニターを「使用することが望ましい」と位置付けているのだ。

この測定機の導入をめぐってはもう1つきな臭い話がある。環境省の検討会の委員が「委員の立場を利用してカネもうけを企んでいる」との疑惑だ。

調べてみると、確かに同省の検討会などで委員を務める、元日本作業環境測定協会調査部長の小西淑人氏の家族が経営するウエスト(神奈川県厚木市)という会社が測定機を販売していた(ちなみに小西氏は、法改正の検討会では委員を務めていない)。

小西氏に確認すると、「会社の経営や販売などには関与しておりません」「直接販売・輸入はしておりません」との回答だった。

しかし、2011年6月に更新したという測定機のパンフレットには、問い合わせ先としてウエストの名前があった。それ以前のパンフレットでは総販売元となっている。
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