イスラム国がイラク北部シンジャルを制圧したのは8月。殺戮と迫害から逃れようと脱出した住民の数は10万におよぶ。一帯に暮らして いたほとんどが少数宗教ヤズディ教徒(ヤジディ教徒)で、町や村も失った。このほか、トルコ系シーア派住民やキリスト教徒、シャバク教徒も標的となり、あ いついで脱出。地域全体のコミュニティーは崩壊した。安全なイラク・クルディスタン地域に避難できずに、シンジャル山に逃げ込んだ住民はおよそ5万。その後、クルド組織によって2万前後が救出されてい るが、避難先では難民キャンプ生活を強いられ、過酷な状況は続いている。シリア北東部のクルド人居住地域と、イラク・クルディスタン地域の2箇所で、ヤズ ディ教住民の状況を取材した。(取材:玉本英子)(メディアでは「ヤジディ」と表記されていますが、本稿では本来の発音に近いヤズディとします)
第6回 ◆町を奪われ、戻るところなく

【シリア北東部】 イスラム国に町を襲撃され、シンジャル山に逃げたのち、クルド組織に救出されたヤズディ住民。一部はイラク・クルディスタン地域へと移ったが、シリアでもたくさんの住民が避難生活を送っていた。このネウロズ・キャンプだけでも避難民の数は8000人。シリア政府は地方部では機能しておらず、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や赤新月社、地元クルド団体などが緊急対応にあたっていた。まもなく厳しい冬がやってくる。(シリア北東部・デレクで 9月・玉本英子撮影)

【シリア北東部】 イスラム国に町を襲撃され、シンジャル山に逃げたのち、クルド組織に救出されたヤズディ住民。一部はイラク・クルディスタン地域へと移ったが、シリアでもたくさんの住民が避難生活を送っていた。このネウロズ・キャンプだけでも避難民の数は8000人。シリア政府は地方部では機能しておらず、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や赤新月社、地元クルド団体などが緊急対応にあたっていた。まもなく厳しい冬がやってくる。(シリア北東部・デレクで 2014年9月・玉本英子撮影)

【シリア北東部】 その日の食事を作るだけでも大変だ。ガスやコンロを持っていない人びとは、周辺から木や草を拾い集めてきて、火をおこしていた。(シリア北東部・デレクで 9月・玉本英子撮影)

【シリア北東部】 その日の食事を作るだけでも大変だ。ガスやコンロを持っていない人びとは、周辺から木や草を拾い集めてきて、火をおこしていた。(シリア北東部・デレクで 2014年9月・玉本英子撮影)

【シリア北東部】 夕食は、ナンとオリーブオイルにスパイス、そして紅茶。「山では何も食べられなかった。食べられるだけでうれしい」と話す人もいた。(シリア北東部・デレクで 9月・玉本英子撮影)

【シリア北東部】 夕食は、ナンとオリーブオイルにスパイス、そして紅茶。「山では何も食べられなかった。食べられるだけでうれしい」と話す人もいた。(シリア北東部・デレクで 2014年9月・玉本英子撮影)

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