新義州の昼と夜。中国側のビルの同じ場所から撮影した。電気供給が優先される新義州も夜の灯りはまばらだ。2015年8月 石丸次郎撮影

新義州の昼と夜。中国側のビルの同じ場所から撮影した。電気供給が優先される新義州も夜の灯りはまばらだ。2015年8月 石丸次郎撮影

 

◇「1秒も電気来ない」と不満の声も

北朝鮮の慢性的な電力難は今に始まったことではないが、昨年11月以降、全国で電力事情は一層悪化。「1秒も電気来ない」「電燈点くのは祝日だけ」と各地から不平の声が届いている。(ペク・チャンリョン/石丸次郎)

8月27日に通話した北部・咸鏡北道の会寧(フェニョン)市に住むアジアプレスの取材協力者は「電気事情は最悪」として次のように伝えてきた。
「住民たちは(食糧だけでなく)電気までもが、祝日だけにもらえる「祝日供給物」と考えるようになった。今年に入って、正月に何時間か電気が来た他は、8月15日の光復節に一日供給されたのが全てだ」

8月26日に通話した咸鏡北道の茂山郡に住む取材協力者も、
「最近電気が全くこない。たまに来ることがあっても電圧がひどく低く、各家が変圧器を利用して電気を使おうとするので、テレビどころか電灯を灯すのも難しい」
と実態を伝えた。

大都市の事情も同様のようだ。8月中旬に中国を訪れたアジアプレスの石丸次郎が、北朝鮮第三の都市、咸鏡北道清津(チョンジン)市から出国して来た住民に取材したところ、
「清津市でも、ほとんどの地区で最近電気の供給が全くない。周辺都市も事情は同じだ」
との証言を得た。
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